メイクの手間を省いたり、手術跡を隠すためであったり、アートメイクには幅広いニーズがあります。
専用のエステサロンで施術を受けた人も多いのではないでしょうか。
しかし、この人気のアートメイクですが、医師免許のない人が施術を行うことは違法であることを知っていますか。
安全性を考慮しての判断と思われますが、なぜこのような状況になったのか、いきさつと理由についてみていきましょう。
過去に起きたトラブルが原因?
国民生活センターに過去に寄せられたアートメイクのトラブル報告があります。
サロンなどで医師免許を持たない施術者が実施した場合のトラブルの割合が圧倒的に多かったといわれています。
施術後に皮膚が化膿したり、腫れが続くというトラブルが最も多く、傷跡が残ってしまうことも数多く報告されています。
さらに、角膜などが傷つき視力に問題が残るなど深刻な問題も発生しています。また、アートメイクで使用する色素がなんらかの原因で時間の経過とともに変化していくというトラブルも報告されています。
アートメイクは皮膚の下に色素を入れる施術であるために、衛生面や感染症の予防などに配慮する必要があります。
このようなトラブルが起きてしまった背景から、アートメイクは医師免許を持つ者が施術をすることが義務づけられる流れになったようです。
アートメイクに使用する色素は安全?
日本では医療行為となるアートメイクですが、欧米などでは医療行為とはみなされていないようです。
そのため、使用する色素の成分についてもそれほど詳しく開示されていないのが現状です。
場合によっては身体に多少影響を及ぼす成分が含まれるといった、安全性に不安が残る色素が流通している可能性も否定できないでしょう。
日本でアートメイクの施術をするクリニックでは、これらの諸外国から色素を個人的に輸入して使用しているのが実情です。
そのため、クリニックで施術することで安心ではありますが、色素の安全性というところでは少々不安が残るのではないでしょうか。
安全を追求すると施術できる場所が限られる
医師免許がなければアートメイクができないとなると、施術ができる場所が限られてしまうのでアートメイク愛好者はとても困るのではないでしょうか。
実際、技術やセンスがあるのはサロンであることが多く、いままで通っていたサロンに通えなくなってしまったという人も多いでしょう。
一方で医療機関は安心だけれど、デザインセンスなどのノウハウがないのが気になる。このような状況から、どこで施術を受けたらよいのか分からなくなってしまいます。
医療機関で安全にアートメイクできるようになる?
しかし、医師免許がないと違法となってしまった限り、医療機関での施術が望ましいことには変わりはありません。
あとは、技術的に満足度が高く、安全に施術できるクリニックや美容皮膚科などの医療機関が増えて選択肢が広がるとよいでしょう。
医療機関ではアートメイクに対する理解がすすんできています。
美容クリニックなどが集まって医師と医療従事者のためのアートメイク学会が発足しているなどの動きがみられています。
アートメイク学会では、どのような機器がより安全で、色素はどの製品が身体への影響が少なく済むのか、などといった問題が積極的に議論されています。
さらに、デザインも含めどうしたら満足度の高いアートメイクの施術が可能なのかについても討議され始めています。
このような動きが医療機関に広がっていることで、より安全で満足度の高いアートメイクの施術を受けることが可能になるのではないでしょうか。