「パラメディカル」という医療技術が注目されつつあります。
「アートメイク」と同じように専用針を使って皮膚に直接色を入れていきますが、アートメイクが美容目的であるのに対し、パラメディカルは医療目的で利用されています。
双方の基本的技術は同じでも、目的に大きな違いがあります。
アートメイクとパラメディカルの違いとは?
アートメイク
アートメイクは皮膚に直接色素を入れることで、素顔でもメイクしたかのような表現ができる美容技術です。
眉毛、アイライン、リップなどによく利用され、水や汗に強く数年間落ちにくいことで注目されています。
モデルや芸能人などの間でもアートメイクの施術をこころみる方が増え、一般の方への認知度も高くなってきました。
パラメディカル
パラメディカルは「パラメディカルタトゥ」、「パラメディカルピグメンテーション」とも呼ばれ、様々な皮膚疾患に対する治療に貢献しています。
パラメディカルは残ってしまった傷跡やヤケド跡、手術跡、白斑症などの色素異常を伴う疾患、無毛症などの治療に使われ、このような皮膚疾患を正常な皮膚のように見せることができる医療技術です。
患者はパラメディカルの施術を行うことで皮膚疾患に対するコンプレックスから解放され、疾患が気にならない日常生活を送ることができるようになります。
パラメディカルを国内で取り入れている医療機関はまだまだ少数ですが、一般の外科とは違う分野として確立しつつあります。
アートメイク、パラメディカルの技術とは?
色素の入れ方とメンテナンス
アートメイクもパラメディカルも基本的な技術は同じです。表皮から0.02~0.03ミリ奥にある真皮の部分に専用の針で色素を入れていきます。
タトゥや入れ墨の場合は、さらに奥の皮下組織まで色を入れるため、半永久的に皮膚に色を残すことを目的とします。
それに対しアートメイクやパラメディカルの場合は比較的浅い位置に色を入れるため、皮膚の新陳代謝によって2、3年、長くても5年程度で色が薄くなっていきます。
そのため、皮膚に施した色を持続的にキープするには数年に1度は定期的にメンテナンスを行い、皮膚に色を追加していく必要があります。
機械彫りと手彫り
施術方法には機械彫りと手彫りがあり、色を均一にベタ塗りしていくようなケースでは機械彫りが向いています。
毛並を再現したり細かい部分の色を表現したりするような場合は、手彫りで1針1針色を入れていく方が向いています。
さらに機械彫りでベースを作り、後日手彫りで細かく手を加えるなどの施術方法も可能であり、両者を併用することでさらに繊細な表現をすることができます。
皮膚疾患医療とパラメディカル技術
乳房再生医療にも
現代の医学では乳ガン手術で失った乳房を再建するために、外科手術によって乳房のふくらみや乳首などを再現する技術が発達してきました。
さらにパラメディカルによって乳輪、乳頭の色までも本物と同じように再現できるようになり、乳房再建医療の更なる発展に役立っています。
白斑や傷跡にも
また、白斑症や傷跡やヤケド跡などが目立つ方のために、疾患部分に本来の皮膚の色と同じ色を入れて目立たなくするなどの治療にもこの技術が使われています。
頭皮にも
無毛症や円形脱毛症、抗ガン剤の影響による脱毛のケースでは、毛の1本1本の流れや色のグラデーションもパラメディカルの最新技術で表現できるため、そこに毛が生えているかのような立体感さえも再現できます。
この技術をアートメイクの現場では、本物に近い立体感のある眉毛を希望する方の施術に応用しています。
このようにパラメディカルは医療分野で、アートメイクは美容分野でそれぞれ大きく貢献してきています。今後はさらに多くの人々に利用されるようになり、一般的な認知度も高まってくることでしょう。